小倉山荘

 山里は冬ぞさびしさまさりける 人めも草もかれぬと思へば   (源宗于)  わがまたぬ年はきぬれど 冬草のかれにし人はおとづれもせず   (凡河内躬恒)  ことの葉も霜にはあへずかれにけり こや秋はつるしるしなるらむ   (大中臣能宣) 〈詞書〉かれがれなるおとこの おぼつかなくなどいひたりけるによめる  有馬山ゐなの笹原かぜ吹けば いでそよ人を忘れやはする   (五十八 大弐三位)  ひと夜とて夜がれし床のさむしろに やがても塵のつもりぬるかな   (二条院讃岐)